2017年7月7日金曜日

種苗法・品種登録の基本(11):登録品種の権利が及ぶ「交雑品種」とは?

前回は「従属品種」について書きましたが、今回は従属品種と同様に登録品種の育成者の権利が及ぶ「交雑品種」について説明します。

交雑品種とは、「その品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる必要のある品種」をいいます。

いわゆるF1品種と呼ばれるものです。

例えば、品種Yを作る場合に、必ず品種Xと品種Zを交配(X×Z)しなければならない場合、品種Yは、品種X又は品種Zの交雑品種にあたります。

交雑品種は、単交雑(X×Z)により得られる品種だけではありません。


より複雑な複交雑((X×Z)×(V×W))や、三系交雑((X×Y)×W)等によって得られる品種も交雑品種に含まれます。

交雑品種についても、親品種Xと特性により明確に区別されることから、品種登録を受けることが可能です。

また、このようにしてできた新品種Yについて、親品種Xが品種登録を受けた場合、その育成者権の効力は、交雑品種である新品種Yにも及ぶことになります。


そのため、交雑品種Yを利用しようとする者は、登録品種Xの育成者権の存続期間である間は、Xの育成者の許諾を得なければなりません。


従って、交雑品種の育成者はとしては、原品種(親品種)の育成者権についても考慮に入れておく必要がありますし、登録品種の育成者権者は、その品種と同じ種に属する他の品種について、注意を払っておく必要があります。

この点は、従属品種についても同様でした。


なお、従属品種や交雑品種が品種登録されなくても、原品種(親品種)の育成者権の効力は、従属品種や交雑品種の利用にも及ぶことになります。


ところで、ある品種が別の品種の従属品種や交雑品種にあたるか否かの判断はどうするのでしょうか。これについては、一律の基準はなく、個々の品種ごとに判断されることになります。

例えば、専門家等による鑑定や、DNA試験などによって「登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させた」かどうかの判断することになります。



品種登録について、法律(登録要件や各種手続き)の立場からサポートをしています。また育成者権の保護・活用のほか、農業経営のサポートをしています。
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