品種登録を受けるための要件は種苗法に定められており、次の3つの要件があります。
(1) 品種について特性に関する要件
(2) 未譲渡性
(3) 名称の適切性
以上の3つの要件を満たす必要があります。
まず、「品種の特性に関する要件」についての審査ですが、この要件を満たすためには「区別性」、「均一性」、「安定性」の3つの点から確認し、そのための試験をアルファベットの頭文字をとって「DUSテスト」と呼ばれています。
区別性(Distinctness)とは、出願品種が、その品種登録前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性(重要な形質にかかる特性)の全部、少なくとも一部について、明確に区別されることをいいます。
「公然知られた」とは、品種の植物体の現に存在し、その存在が不特定又は多数の者に知られ、日本国内又は外国においてその品種の種苗が一般に手に入れることができるようになることをいいます。
例えばその品種の種苗が販売されたり、カタログに記載されて多くの人がそれを見て購入できたりするような状態をいいます。
また、昔からある在来品種も、公然知られた品種となります。
「区別性」の要件についての審査は、出願品種と既存の類似した品種(対象品種)とを比較して判定します。
対象品種が品種登録されているものについては公開されている品種の特性を調べれば概ねわかりますが、品種登録されていない品種については、カタログ等を見るだけでは分からないこともあります。
事前にある程度調査することは必要ですが、(既に同じ特性の品種があれば)運悪く登録を拒絶される可能性もあります。
均一性(Uniformity)とは、同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが特性(重要な形質にかかる特性)の全部において十分類似していることをいいます。
子の代ならその子すべてが、孫の代ならその孫のすべてが特性の全部において類似している必要があるということです。
安定性(Stability)とは、その品種を繰り返し繁殖させた後においても、特性(重要な形質にかかる特性)の全部が変化しないことをいいます。
これはたとえば、親の代、子の代、孫の代で特性の全部が変化していないということになります。
なお、現在、多くの作物で主流を占めていている「一代雑種育種法」と呼ばれている育種法についても、毎回供給される雑種第一代の種苗を利用した植物体(いわゆるF1品種)の特性が変化しないのであれば、安定性の要件をみたしているとされています。
育種と種苗登録に時間がかかってしまうのは、これらのことを確認していく必要があるからです。
また、品種の特性については記録をキッチリ取って、他の品種との違いを明確にしていく必要がありますが、これはIT技術等により効率的にできるようになりましたし、複数の農家等が連携することにより同時並行的に進めることができると思われます。
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